ベトナムにおける商業仲裁紛争の解決


商業仲裁による紛争解決は、争議中の当事者が専門の仲裁人を通じて迅速かつ効率的に紛争を解決するための法的手段です。しかし、多くの人がこの手続きについて詳しく理解していないことがあります。そこで、 LHB Law Firm の弁護士が、ベトナムの裁判所における商業紛争解決手続きについてご説明いたします。商業紛争に関する弁護士サービスをご希望のお客様は、 LHB Law Firm +84.982.860.613(Viber), Line: https://line.me/ti/p/Ahu2jrhEld   にご連絡ください。

仲裁センターでの紛争解決の条件

紛争が仲裁センターで解決されるためには、以下の条件を満たす必要があります。

合法的な仲裁合意

  • 仲裁合意:紛争当事者は、明確で合法的な仲裁合意を持っている必要があります。この合意は契約内の仲裁条項、または別個の合意として書面で作成されます。
  • 書面の形式:ベトナム商業仲裁法によれば、仲裁合意は書面で作成されなければなりません。手紙、電報、ファックス、電子メール、その他の認められた電子通信手段が使用できます。

仲裁の権限

  • 紛争解決の権限:仲裁は、当事者が仲裁に委ねることに合意した紛争のみを解決する権限を持ちます。商業活動に関連する紛争や、法的に認められたその他の紛争が含まれます。
  • 解決可能な紛争の種類:仲裁は、経済組織、企業、商業登録を行っている個人間の商業紛争を解決します。個人の権利、家族、結婚に関連する紛争や、法律で裁判所で解決すべきと定められている紛争は仲裁で解決できません。

仲裁センターの解決範囲

  • 解決の範囲:仲裁に持ち込まれる紛争は、法的に仲裁が解決できる範囲内である必要があります。例えば、商業契約、商品やサービスの売買、金融、投資、建設に関する紛争などです。
  • 公共問題に関する紛争は除外:公共の利益に関わる紛争、例えば土地や公共財産に関する紛争、または法律で裁判所や他の権限のある機関で解決すべきとされている問題は仲裁で解決できません。

これらの条件を満たしている場合、紛争は仲裁センターで解決され、仲裁の判断は当事者に対して拘束力を持ちます。

手続き

ベトナムでの仲裁による紛争解決の手続きは、通常以下のステップで進行します。

訴状の提出

  • 訴状:紛争当事者(原告)は、契約や仲裁合意に従って選定された仲裁センターに訴状を提出します。訴状には、当事者の情報、紛争の内容、解決の要求、および法的根拠を明記する必要があります。
  • 証拠の添付:訴状には、原告の要求を裏付けるための関連する証拠資料を添付します。

事件の受理

  • 仲裁センター:仲裁センターは訴状を受け取った後、その事件が仲裁の権限内であるかを確認し、受理します。
  • 受理通知:仲裁センターは被告(訴えられた側)に事件の受理通知を送り、一定期間内に被告の反論や意見書の提出を求めます。

仲裁委員会の設立

  • 仲裁人の選定:当事者は自分で仲裁人を選定するか、仲裁センターに仲裁人を指名するよう要求することができます。この選定は、仲裁合意や仲裁センターの規則に基づいて行われます。
  • 仲裁委員会:仲裁委員会は通常1人または3人の仲裁人で構成されます。当事者間に合意がない場合、仲裁センターが仲裁人の人数を決定します。

準備会合

  • 最初の会合:仲裁委員会は、紛争解決の権限、当事者の要求、その他の手続き上の問題を確認するための最初の会合を開催します。
  • スケジュールの作成:仲裁委員会と当事者は、証拠収集の方法や解決プロセスに関連するスケジュールについて合意することができます。

証拠の収集と審査

  • 証拠の提示:紛争当事者は、証拠資料や関連書類を提示し、自身の主張を仲裁委員会の会合で述べます。
  • 仲裁委員会の審査:仲裁委員会は、提出された証拠や書類を審査し、最終的な判断を下します。

解決セッション

  • 公式審理: 仲裁委員会は、当事者が意見、証拠、主張を提示するための公式審理を開催します。状況に応じて、審理は当事者の要求や仲裁規則に従い、公開または非公開で行われることがあります。
  • 議事録の作成: すべての審理は法的効力を持つ議事録に記録されます。この議事録は、後の手続きにおいて重要な証拠となります。

仲裁判断

  • 最終判断: 関連するすべての問題を審査した後、仲裁委員会は最終判断を下します。この判断は法的拘束力を持ち、原則として上訴できません。ただし、無効の場合など一部の例外があります。
  • 判断の通知: 仲裁の判断は、規定された期間内に当事者に送付されます。

判断の執行

  • 自主的な執行: 当事者は仲裁の判断を自主的に執行する責任を負います。もし一方が執行を拒否した場合、他方は裁判所に強制執行を求めることができます。
  • 国外での認証と執行: 仲裁判断がベトナムで行われた場合でも、国外で執行する必要がある場合、1958年のニューヨーク条約に基づき、その判断が認証され、国外で執行される可能性があります。

商事仲裁における紛争解決の書類

商事仲裁による紛争解決の書類とは、仲裁センターでの紛争解決手続きにおいて提出され、使用される証拠や関連書類の集まりです。以下は、商事仲裁における紛争解決に必要な主要な書類の構成要素です。

訴状書

  • 内容: 訴状(または仲裁申請書)は、原告が作成し、紛争の基本情報、具体的な要求、および原告が使用する法的根拠が記載されます。
  • 必要な情報: 訴状には、当事者の情報(名前、住所、連絡先電話番号)、紛争の内容、仲裁合意、原告の具体的な要求が含まれます。

仲裁合意書

  • 写し: 当事者間で交わされた仲裁合意書の写しが必要です。これは、契約書に含まれる仲裁条項か、別途締結された合意書である場合があります。
  • 内容: 仲裁合意書には、当事者が紛争を仲裁で解決することに同意し、仲裁地、言語、適用される仲裁規則などが明確に記載されている必要があります。

証拠

  • 文書証拠: 契約書、請求書、領収書、書簡、電子メール、通知書など、紛争に関連するすべての文書が含まれます。
  • 物的証拠: 必要に応じて、紛争に関連する商品や物品などの物的証拠も含まれます。
  • 証人証拠: 事件に関連する証人の証言やその記録も含まれます。

被告の反論書

  • 内容: 被告は、原告の要求に対して反論書を提出することができ、そこには紛争に関する被告の見解、反論証拠、法的主張が記載されます。
  • 提出期限: 反論書は、仲裁センターからの通知後、定められた期間内に提出される必要があります。

当事者の陳述書

  • 紛争の要約: 当事者は、それぞれの事件に関する陳述書を提出し、法的主張、証拠の分析、仲裁委員会への具体的な要求を含めることができます。
  • 情報の更新: 必要に応じて、当事者は追加の陳述書を提出し、手続き中に情報を更新することができます。

会議記録書

  • 会議の議事録: 仲裁委員会と当事者の会議はすべて議事録として記録され、議論された内容、暫定的な決定、対応すべき事項が記載されます。
  • 手続きに関する情報: 仲裁人の選任、会議のスケジュール、仲裁委員会の重要な決定など、手続き上の問題も議事録に記載されます。

仲裁判断

  • 最終判断: 仲裁委員会がすべての証拠、書類、当事者の主張を検討した後の最終的な判断文書です。
  • 要求の解決: 最終判断には、当事者の具体的な要求に対する仲裁委員会の決定、履行義務、補償金額などが含まれます。

その他の書類

  • 書簡、通知: 当事者間および仲裁センターとの間での紛争解決に関連する書簡や通知は、すべて書類として保管されます。
  • 追加書類: 当事者が仲裁手続き中に提出する追加書類(専門家の意見書、監査報告書など)も含まれます。

仲裁センターでの紛争解決費用

仲裁センターでの紛争解決にかかる費用(仲裁費用)は、仲裁センターで紛争解決サービスを利用する際に当事者が負担する費用です。この費用は、仲裁センター、紛争の価値、その他の要因により異なる場合があります。以下は、仲裁センターでの紛争解決費用の主な要素です。

提訴手数料(訴訟費用)

  • 提訴手数料: 原告が仲裁センターに訴状を提出する際に最初に支払う手数料です。この費用は通常、紛争の価値にかかわらず、一定額で設定されています。
  • 費用額: 提訴手数料は、仲裁センターや紛争の種類によって異なりますが、一般的には高額ではありません。

仲裁費用

  • 仲裁費用: これは主要な費用で、仲裁委員会の活動費用や紛争解決過程で提供されるサポートサービスの費用を含みます。
  • 計算方法: 仲裁費用は通常、紛争の価値に基づいて計算されます。多くの仲裁センターでは、紛争の価値に応じた仲裁費用を明確に規定した料金表を持っています。
  • 最低・最高費用: 一部の仲裁センターでは、料金の合理性を確保するために、最低および最高の費用が設定されています。

管理費用

  • 管理費用: これは、仲裁センターの運営費用や管理業務にかかる費用です。
  • 費用額: 管理費用は固定費用である場合も、紛争の価値に対する割合で計算される場合もあり、各仲裁センターの規定によります。

仲裁人の費用

  • 仲裁人の費用: これは、紛争解決に参加する仲裁人に支払われる費用です。この費用は仲裁人ごとに個別に計算される場合もあれば、仲裁費用に含まれる場合もあります。
  • 費用の性質: 仲裁人の費用は、作業時間に基づいて算出される場合や、事前の合意に基づいて固定額として設定される場合があります。

仲裁センターでの紛争解決における弁護士の役割

弁護士は、仲裁センターでの紛争解決プロセスにおいて重要な役割を果たします。以下に、弁護士の主要な役割と任務を紹介します。

法律相談と戦略立案

  • 状況評価: 弁護士は、依頼者が法的な状況を評価する手助けをし、紛争の強みや弱みを特定します。また、最適なアプローチについてアドバイスを提供します。
  • 解決戦略: 弁護士は、依頼者の目標に基づいて紛争解決戦略を策定します。交渉、和解、仲裁に向けた準備などを含むアプローチを提案します。
  • 訴状の作成: 弁護士は、法的要件を満たし、依頼者の立場を明確に表現する訴状や反論書を作成します。
  • 証拠の準備: 弁護士は、依頼者が証拠を収集し、仲裁委員会に提出するための準備を支援します。

仲裁での代理

  • 仲裁での代理: 弁護士は、準備会合から正式な仲裁まで、すべての仲裁手続きにおいて依頼者を代表します。彼らは法的な議論を提示し、相手側の主張に対応し、依頼者の権利を擁護します。
  • 反論と弁論: 弁護士は、相手側の主張に対して反論し、適切でない証拠や議論を論破することを目指します。

交渉と和解

  • 交渉: 多くの場合、弁護士は仲裁の前に、相手側との交渉を通じて和解や合意の道を模索します。
  • 和解仲介: 必要に応じて、弁護士は仲介者として和解を進めたり、正式な和解プロセスにおける依頼者のサポートを行います。

仲裁判断の準備と分析

  • 仲裁判断の分析: 仲裁委員会の判断が出された後、弁護士はその法的妥当性や依頼者への影響を慎重に分析します。
  • 判断後のアドバイス: 弁護士は、仲裁判断を受けた後の手続きについてアドバイスを行い、判決の執行や必要に応じた法的手段を検討します。

仲裁判断の執行

  • 判断の執行: 弁護士は、敗訴者が自主的に判決を履行しない場合に、依頼者が判決の強制執行を求める際のサポートを行います。
  • 国外での判決承認: 必要に応じて、弁護士は、1958年のニューヨーク条約に基づいて他国での仲裁判断の承認と執行を依頼者にサポートします。

弁護士による裁判外紛争解決サービス料金表

弁護士による裁判外紛争解決サービス料金表
サービス 料金
1 情報の受け取り、弁護士手続きの案内 無料
2 弁護士による直接相談または電話相談 50 USD/時間
3 弁護士による文書での相談 100 USD〜
4 訴状作成、自己防御書作成 100 USD/ページ〜
5 交渉・和解の代理 1,000 USD〜 + 紛争額の割合
6 調停センターでの紛争解決 要相談
7 仲裁センターまたは人民裁判所での訴訟、紛争解決 要相談
8 ベトナムでの判決執行の要求 要相談

(2024年7月2日、Vietcombankの為替レートに基づく 1 USD = 25,465,000 VND)

法的なアドバイスや紛争解決が必要な場合は、 +84.982.860.613(Viber), Line: https://line.me/ti/p/Ahu2jrhEld  までご連絡ください。

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